今、ゲームデベロッパー界隈をざわつかせている話題があります。

ダウンロード数に応じて支払うUnityの新ライセンス撤回を求め、大手含むゲーム会社21社が連名でUnityが関わる広告サービスでの収益化を止める声明を発表
9月13日(米国時間で9月13日)にUnityが発表した新たな料金「Unity Runtime FEE」。 ゲームのインストール数に応じて料金が増えていくこの仕組みに対して、Voodooなどスマートフォンの大手を含む21社が共同で「Unityが新たな条件が見直されるまで、Unityが提供するIronSourceとUnity Adsの収益化を停止する」と声明を発表し、他社にもこの運動への参加を促している。

Unity の価格変更にあたって
最近発表された、Unity プラットフォームを使用しているデベロッパー向けにまもなく実施される価格変更についての見解

Unityが突然料金を改定したのは「自社の広告プラットフォームにユーザーを誘導するため」ではないかという指摘
ゲーム開発プラットフォームのUnityが、「Unityで開発したゲームのインストール数に応じて手数料を支払う」という料金システムの改定を2023年9月12日に発表し、ゲームの開発者から大反発を受けています。ゲーム関連ニュースサイトのMobileGamer.bizが「Unityが開発者に厳しすぎる料金システムを突然導入したのは、AppLovinなどの競合するモバイル広告プラットフォームに対抗するため」と論じています。

カイロソフト、悲しみの「カイロゲームは全部Unityで作っちゃったよセール」開催。4タイトルセットが81%オフの特価で買えちゃう | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com
カイロソフトは、厳選した4タイトルをセットにしたバンドル『カイロゲームはUnityで作っちゃってるよバンドル』を発売した。
課金要素や広告によるマネタイズではなく、ダウンロード自体が有料の買い切りアプリなら(設定価格によりますが)さほど影響を受けないでしょう。
ダウンロード数が多くても利用者の課金率が高いアプリも、収益は減るでしょうが経営が立ち行かなくなるほどの致命的なダメージを受けるというわけでもないでしょう。
今回の料金改定で大打撃を受けるのはマネタイズを広告に依存しているアプリです。
対価を支払う価値のある買い切りゲーム、対価を支払う価値のある課金要素があるゲームは生き残り「対価を支払うほどでもないけど無料なら多少の広告表示は甘んじる」といったタイプのゲームにとっては死活問題です。
さらに言えば「ゲームのプレイ時間よりも強制的に表示される動画広告を見ている時間のほうが長く、内容も似たりよったりで集金のためだけに粗製濫造される粗悪品」は市場から淘汰されるでしょう。
私は、粗製濫造された劣化コピーの広告強制ゲームを好みません。
なぜなら、労せず集金だけを目的とした粗悪品ばかりがストアを占拠すれば市場全体の評価を下げるからです。
「無料ゲーム=粗悪品」のイメージを広める要因になりかねません。
(ゲーム開発にはコストがかかるのでマネタイズは重要なことですし、派生から名作が生まれることもありますし、模倣すること自体を否定しませんが、プレイヤーとゲームへのリスペクトを感じないものは好みません。)
しかし「基本無料だけど発展させるべきゲーム」は守る必要があります。
P2W(ペイトゥーウィン/課金すれば勝てる)のゲームは勝ちたいプレイヤーには自ずと課金圧がかかりますので比較的マネタイズしやすいです。
PS(プレイヤースキル)さえあれば課金せずとも勝てるゲームも、Unityの料金改定によって赤字が生じるなら今後はプレイヤーに課金を促せざるを得なくなるかもしれません。
後者は、基本無料でスキンなどの勝敗に直結しないアクセサリーのみに課金要素があるゲームが多いです。
そういったゲームはP2WではなくPSを競うので、競技性が高くe-Sportsの種目に適しており、ゲーム内でマネタイズができなくても大会など大規模なイベントを定期的に開催することで収益を得られます。
競技性の高いゲームの衰退はe-Sportsの発展を妨げます。
もちろん、競技性は高くなくても純粋にプレイヤーに楽しんでもらう目的で作られた善良なゲームも守る必要があります。
私の中でUnityはどこまでも利用者に寄り添う企業イメージです。
非常にサポートが手厚く、新規参入者への学習環境も豊富です。

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The GDevelop Solutions Provider Program is an initiative designed to foster collaboration and expertise within the GDevelop professional community. This program serves as a bridge between proficient GDevelop users and those seeking specialized skills for interactive projects.
ですので、今回の発表は多くの利用者にとって寝耳に水だったと思います。
なぜ、事前にじゅうぶんなヒヤリングを行わなかったのかが疑問です。
今回のUnity発表に抗議の声を上げているデベロッパーはすくなくありません。
私は「集金するためだけに粗製濫造される粗悪品」が市場から淘汰されることを望みますが、それ以上に失うものが大きくなる恐れがあるのでUnityの料金改定には反対です。
ここでひとつ、Unityを開発環境の選択肢から外すという手もあります。
しかし、ほかのゲームエンジンに移行するには新たな環境に対応するための学習コストがかかります。
それでも移行を考える人はすくなくないようです。
そんな中、Unityの移行先として候補に上がる筆頭がGodotのようです。

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しかし私はGDevelopを推奨したいです。
率直に申し上げますが、GDevelopはまだ発展途上にあると思います。
しかし、それは大きな伸びしろを残しており将来性が期待できるということでもあります。
私はGodotを使用したことがありますが、明らかにGDevelopのほうが学習コストは低いと感じます。
(ちなみにGDevelopもほかのゲームエンジン同様、JavaScriptによる自由度の高いイベントを組み込めますので高い拡張性があります)
3Dゲームの開発環境としてならGDevelopはGodotに敵いません(あくまで現段階においてであり、今後はわかりません)
しかし、カジュアルゲームをリリースするなら納期スピードはGDevelopのほうに軍配が上がるとおもいます。
ひとまず、カジュアルゲームのリリースを予定している皆さんは、Unityとその周囲の動向を伺いつつ今のうちからGDevelopを試してみてはいかがでしょうか。

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