今回は、ゲームにおけるアクセシビリティやユニバーサルデザインについてのお話です。
ユーザビリティとは「使いやすさ」「利便性」です。
アクセシビリティとは「アクセスのしやすさ」です。
ユニバーサルデザインとは「誰にとっても使いやすい設計」です。
バリアフリーとは、障害者、妊娠中の方、お年寄り、子どもなど、特定の対象へ配慮した設計です。
いずれも「誰一人取り残さない」ためのアプローチです。
例えば、一般的なハサミは右手用に設計されていて、バリアフリーでもユニバーサルデザインでもありません。
左手用のハサミであれば、左利きの用途に特化したバリアフリーデザインです。
左右両用のハサミなら、どちらにも使いやすいユニバーサルデザインです。
ゲームのメニュー画面やUIなどを設計するとき、ユーザビリティ(使いやすさ、便利さ)を意識する方は多いとおもいます。
しかし、バリアフリーやユニバーサルデザインを意識する方はそんなに多くないとおもいます。
極端な話、バリアフリーの要素は健常者にとっては不要ですよね。
なので、健常者がバリアフリーやユニバーサルデザインを普段から意識することはあまりないかもしれません。
例えば、階段の横のスロープがなくても健常者は困りませんが、車椅子やベビーカーを利用する人は困ります。
では、階段とエレベーターが併設してあった場合ならどうでしょう。
その場合、車椅子、ベビーカー利用者、キャリーケース利用者、健常者、誰にとっても助かりますよね。
このように、ユニバーサルデザインは障害の有無に関わらず誰にとっても便利な設計なのですが、設置するのは一定の追加コストがかかります。
その追加コストとは、費用、スペース、施工期間などです。
ゲームの場合も例外ではなく、ユニバーサルデザインの要素を加えるとしたら、追加で工数が増えるので開発期間が伸び、その分の費用もかかります。
「見やすいように文字を大きくする」「ボタンの配色を見やすい色にする」など、場合によってはデザイン性にも一定の制限がかかります。
「ユニバーサルデザインにしましょう」と言うのは簡単ですが、そこにかかるコストは無視できるものではありません。
それでも、ユニバーサルデザインに近づけることが望ましいでしょう。
なぜなら、排除されてしまう対象を最小限に減らせば、単純に利用可能な対象が増えるからです。
それはつまり、ゲームのプレイヤーが増えるということです。
インディーゲームは競争の激しいレッドオーシャンです。
埋もれてしまわないように他との差別化が求められます。
もし仮に、ほぼ同じ内容のゲームがふたつあったとして、一方がユーザビリティにまったく配慮がなく、もう一方がユニバーサルデザインをしっかり意識していたとします。
プレイヤーとしてどちらか一方を選ぶなら、断然、後者のゲームだとおもいます。
まだそういったアプローチがゲーム業界全体に浸透していない今、ユニバーサルデザインは「強み」としてアピールポイントになるわけです。
もし「自分にはまったく関係ない」とおもっていても、ゲームのユニバーサルデザイン化が世界のスタンダードになれば、いずれ追従せざるをえないわけです。
「ひとりでも多くの人に自分のゲームをプレイしてもらいたい」とおもったときが「自分にできるユニバーサルデザインとはなにか」を考えてみる良い機会なのかもしれませんね。
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