自身のゲームのメインターゲットは誰なのか
インディーズゲームデベロッパーにとって、リリースするプラットフォーム選びというのはけっこう悩ましい問題だとおもいます。
インディーズゲームの主なリリース先としては、Steam(PC)、Playストア(Android)、Appストア(iOS)でしょう。
アクツクのようにNintendo
Switchへのエクスポートに対応しているゲームエンジンもあるので、インディーズゲームデベロッパーにとって今はコンシューマーゲーム(家庭用ゲーム機)も現実的な選択肢に含まれるかもしれません。
インディーズゲームのリリース形態として、まずはSteamでリリースしてからモバイル向けにリリースするというパターンを多く見かけます。最近のゲームエンジンは基本的にクロスプラットフォームにエクスポートできますので、それが容易にできます。
自身のゲームがどの層をメインターゲットにするかで、リリースするプラットフォームは変わってくるでしょう。
カジュアルゲーマーとコアゲーマー
大きくわけてゲームプレイヤーは、ライト層であるカジュアルゲーマーとヘビィ層であるコアゲーマーに分類できます。カジュアルゲーマーが好むものとして、モバイルゲーム、シングルタップでの操作、画面はPortrait(縦持ち)という傾向があると思います。
TikTokなどの動画サービスもPortraitで見ることが多くなりました。
長時間で4Kの高画質な動画はLandscape(横画面)で見たほうが表示領域をフルに活かせるので、スタンドに置いてじっくりと見たいものです。
しかし、3分未満で中画質の動画を見る場合は次々とスワイプで動画を切り替えたいですし、わざわざスマホを横に持ち帰るという動作を面倒だと感じる人も少なくはないでしょう。
これはゲームにも当てはまるとおもいます。
1プレイが3分前後なら、移動中や空き時間にサッと取り出して、縦持ちでサクッとプレイしたいでしょう。
そして縦持ちなら片手で操作できるゲームを望むことでしょう。
『Google Play ベスト オブ
2019』のインディー部門に、縦持ちの片手操作でプレイできるアーチャー伝説が大賞に選ばれたのも納得です。
一方で、コアゲーマーは「やりごたえ」を求める傾向が強いです。
長時間じっくり腰を据えてプレイするので、モバイルと比べて大きな画面のPCゲームやコンシューマーゲーム(家庭用ゲーム機)を好みます。
そうなるとプレイするゲームは必然的にLandscape(横画面)になります。
PCゲームやコンシューマーゲームの操作は基本的にゲームパッドなので2本以上の指を使います。
その流れからスマホゲームでもLandscapeのマルチタッチを好む傾向にあるでしょう。
日本のゲーム市場
日本のカジュアルゲーマーとコアゲーマーの比率は、圧倒的にカジュアルゲーマーが多いです。日本のストアランキング上位のゲームは大半がPS(プレイヤースキル)を要求せず、P2W(Pay to Win / 課金で勝てる)の要素を含むゲームが好まれる傾向にあります。
2022年上半期の日本のダウンロードあたり平均収入額は25ドルを超え、アメリカ市場の5倍に達しました。
これまでゲームをしなかった人でも、スマホの普及に伴ってプレイする機会が増えたとおもいます。
また、コロナ禍がきっかけでゲームを始めた人も増えたでしょう。
そういった、スマホで気軽にゲームをプレイする層にとっては、Steamやコンシューマーゲームなど据え置き型は敷居が高いものです。
まだまだ日本では〝ゲームのための時間を作る〟という人より〝空き時間にゲームをする〟という人のほうが多いでしょう。
日本と海外でのプレイヤー層の違い
一方で、海外では本格志向のゲームは人気が高いです。
モバイルでは日本とおなじくPortraitでシングルタッチを基本としたパズル、ボード、ストラテジーなどカジュアルゲームに人気が集中し、次いでサンドボックスとリズムゲームの成長が著しいです。
しかし、海外はSteamユーザーが日本と比べて圧倒的に多いです。
『ELDEN RING』が2022年2月のアメリカ市場で最も売れたゲームタイトルに - PickUPs!
アメリカ市場の2022年2月の売上ランキングTOP3では、2作品が日本産タイトルとなった。
コアゲーマーは視野の広い美麗グラフィックで高難度のゲームを長時間かけてプレイするのを好みます。
シングルプレイの高難度アクションゲームや、オンラインマルチプレイのPvP(対人)ゲームなど、高いPSを要求するゲームにやり応えを感じます。
そうなると、必然的に選択肢はSteamやコンシューマーゲームになってきます。
モバイルでもCall
of DutyやApex LegendsなどのFPSタイトルが人気です。
アメリカの2021年ゲーム支出は604億ドルで過去最高を記録|US Annual Report
「CallofDuty:Vanguard」が最も売れたタイトルとなり,「NintendoSwitch」は引き続きゲーム機のトップとなった 調査会社NPDの最新レポートによると,2021年のアメリカのゲ…
2022年上半期、アメリカのモバイルゲーム市場の収益は114億ドルです。
一方で、2022年2月だけでもアメリカ市場におけるソフトウェアとハードウェア、周辺機器の売上げは43億8,400万ドルと登り、かなり高いシェアを誇っています。
国外でのゲームリリースを視野に入れるなら、Steamでの販売は外せない選択肢となるでしょう。
日本語にしか対応しないのであれば、モバイルでのリリースのみで問題ないでしょう。
注目を集めるゲーム専用端末
近年、日本のSteamユーザーが激増しています。 英語圏ユーザー36.11%に対して日本語ユーザーは2.34%とまだまだ少ないのですが、これでも過去最高の記録なのです。日本のSteamユーザーが猛烈に増加、過去最高に。PCでゲームをする文化が、日本でも浸透してきている - AUTOMATON
ValveはSteamのハードウェア&ソフトウェア調査2022年3月分を公開した。その中のデータが一部で話題を呼んでいる。日本語ユーザー数が、大きく増えているのである。
また、Valve公式携帯型PCゲーム機である、『Steam Deck』の日本国内予約が開始されていることもあり、今後益々の増加が見込まれます。
専用機を用意しなくても、NVIDIAの提供する『GeForce NOW』というサービスを利用することにより、お手持ちのスマホでSteamからリリースされたゲームをプレイすることができます。
でもやはり、Steam向けにリリースされた高画質のゲームは端末に高いスペックを要求する場合が多いです。
それもあってか、ここ最近はモバイル型のゲーム専用端末のニーズが高まり、いろいろなメーカーが参入しています。
ポータブルゲーミング端末は、ハイスペックを要求するコアゲーマー向けのゲームを、場所を選ばずストレスフリーにプレイできる「お手軽さ」と「本格志向」のハイブリッドなプレイ環境を実現できます。
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とはいえ、現状でポータブルゲーミング端末はまだまだ一般的ではありません。
しかし、Steamユーザーの増加に伴って将来的に普及が拡大する可能性は大いに見込めます。
そうなればもう、モバイルゲームとPCゲームの垣根は限りなく低くなるでしょう。
マルチプラットフォームでの展開が理想的
将来的にプラットフォームの垣根がなくなった場合に備え、デベロッパーは今のうちにどのプラットフォームにも対応できるゲーム設計をしておいたほうがいいのかもしれません。現状ではスマホのカジュアルゲーマー向けならPortrait(縦持ち)が圧倒的に強いですが、Steamやポータブルゲーミング端末には不向きです。
国内ユーザー数増加が期待できるSteamやポータブルゲーミング端末向けに、今後はLandscape(横持ち)を検討すべきでしょう。
Android、iOS、Steam。
主要プラットフォームへのエクスポートに対応したGDevelopでの開発なら、プラットフォーム選びに迷うことなく製作に取りかかれます。
これからゲームを作ってみたいと考えておられる方は、簡単に導入できるGDevelopでLandscapeのゲーム製作をご検討してみてはいかがでしょうか。
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